2010年3月18日木曜日

医療従事者のPTSD revision

2008年11月に次の記事が出ていました

神戸新聞|社会|JR脱線事故でPTSD 元看護師が労災認定求め提訴へ
二〇〇五年四月の尼崎JR脱線事故の際、けが人の搬送先となった兵庫医科大病院(西宮市)で手当てに当たった元看護師の女性(35)=大阪市=が、心的 外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったとして、国に労災認定を求めて十八日にも神戸地裁に提訴する。大規模な事故や自然災害では、救援者にも強いストレス(惨事ストレス)が生じるとされ、医療現場でも対応が課題になっている。
大惨事での救援に当たると、悲惨な光景を見たり、職責を果たせなかったりした結果、不眠や無力感に陥ることがある。こうした惨事ストレスを放っておく と、PTSDになる恐れがある。
女性は事故当日、同病院の救命救急センターで負傷者を手当てした。二週間後、電車で出勤中に過呼吸となり、涙が止まらなくなったという。精神科で治療を受け、医師からはPTSDと診断され、同年九月から病欠、その後、休職した。
〇六年三月に労災補償を申請したが、西宮労働基準監督署は不支給を決定。別の専門家にも「JR事故が起因しているのは明らか」と診断されたのを受け、女性は兵庫労働者災害補償保険審査官に不服を申し立てたが、今年七月に「事故を直接目撃したわけではなく、救急医療は通常業務」などと却下された。
女性はいったん復職したが、七月に退職し、治療を受けている。代理人の松丸正弁護士は「医療従事者の惨事ストレスは軽んじられているが、同じような症状の人はほかにもいる。裁判を通じストレスケアの大切さを訴えたい」と話している。
  尼崎JR脱線事故で、兵庫医科大病院は、医療機関で最多の百十三人を受け入れ、医師や看護師ら約百十人が対応。別の女性看護師一人も心身の不調を訴え、 〇六年三月に退職したという。
(引用終り)

医師、看護師をはじめとして、救護者にもPTSDを発症することがいわれています。
とくに2001年のニューヨークの9.11テロにあたって、テロ現場での救助に当たった消防士などにPTSDの症状が見られたことから、注目されてきています。
(ただ、国内ではほとんど記事になっているのをみたことがありません)

PTSDと区別して、二次性のストレス性障害、とも言われます。
災害の現場に直接いなくても、救護をしたり、話を聞いたりすることによってPTSD様の症状が発症されます。
また、DV被害者のカウンセリングを行うことカウンセラーのなかに、PTSD様症状が出る場合もあります。これは「共感疲労」という概念です。

労働者災害補償保険審査官は、「事故を直接目撃したわけでない」という理由で、申請を却下しているとありますが、このことは、審査を行う側の知識のなさを露呈していると思います。

記事にある代理人の松丸弁護士は過労死裁判でも活躍なさっている方です。
松丸弁護士の話を、「過労死110番の講演会」で以前に聴きました。
そのとき、松丸弁護士は、
「そもそも、『過労死』ということばだって、「そんな概念はない!」「過労で死ぬわけではない!」などといわれていたし、しばらく医学界からは『過労死なんてありえない』と言われ続けていた」と語っていました。
いまや”TSUNAMI"と同じように、過労死は、"KAROSHI"として、広く世界で使われています。

さまざまな場面でストレスをうけて苦しんでいる人がいます。
その方たちの声に耳を傾けていきたいです。

(2008年11月に書いた内容をもとに再構成しました)