2009年8月28日金曜日

「子ども手当」は所得の再配分

政権交代が確実になってきたいま、子ども手当について考えてみたい

民主党がマニフェストにのせている子ども手当は、15歳までの子どもに対して、一人あたり毎月2万6千円を手当として支給するというもの
まずは、来年度から開始して、初年度は半額の1万3千円。2年目からは全額を支給する予定

子ども手当は、少子化対策として語られるが、どちらかというと、税の再分配機能を改革するための政策である。
いままでは、こどもをもっている子育て世代の家族から、高齢者の方へお金が移動していた。
子育て世代が消費税・所得税・住民税、そして、年金保険料・健康保険料を納付し、それをもとにした高齢者福祉が成立している。
この若者世代が高齢者世代をささえる、という構造、それ自体には特に問題はない。
ただ、子育て世代の負担がおおきくなってきていて、これが、子育て世代のお父さんお母さん、そして、子どもたちへ、負担となってきている
これを是正して、子育て世代へ配分を大きくしようとしているわけである

こどもの貧困率の調査では、日本では7人に一人のこどもが、貧困世帯に属しているという。
(これについては貧困の定義など、さまざまな反論もある)
普通は、政治がこの状況をふまえて、貧困状態を解消する方向へと政策を組み立てるはずである。そのような政策がなされれば、貧困世帯に属する子どもたちの割合は減少するはずである。げんに、各国ともそのような政策になっている。
ところが、このこどもの貧困率が、再分配政策の前後で減少するどころか、増加しているのが日本の現状である。
これは、一つには、児童手当の額が少額で、結果として子育て世代への直接的な支援がすくないこと。もう一つは、日本の政策が、直接的な給付ではなくて、待機児童ゼロ作戦を例として、「政策」に対してお金が支給されていることが原因である。

たとえば、待機児童ゼロ作戦で、新しい保育園をつくったとする。この政策に使われるお金は、保育園の施設整備費、人件費、などへ使われる。
「ゼロ歳児をひとり一年間保育するために、予算が600万円必要」なんだ、とエコノミストが話していた。
この発言は、だから、お金がかかるから、なかなか待機児童はなくならないんだ、と続いていた。

(話はよこにずれるが、ゼロ歳児の保育に600万円かかる、というなら、保育園に預けずに、家でゼロ歳児を育てているお母さんは、一年で600万円の仕事をしていることになる。もっと、お母さんを評価してくれ!)

保育園へ運良く預けられた家族には、この「政策」は届いていることになるが、保育園を断られたこどもたちには、この「政策」はなかったも同然だ

このように、「政策」が届かなかった子どもたちを減らしていくためには、子ども手当のような直接的な支援を導入することが効果があるだろう
そのことが、所得の再配分の機能を生き返らせることにつながっていくと信じたい

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