2010年8月10日火曜日

父親の産後うつについて その2

さて、父親の産後うつがどのくらいの頻度で起こりうるといわれているのだろうか
実は、この分野については研究は比較的最近であり、まだあまり多くの調査がなされていない。
レビューをみてみると、この分野のパイオニアとなる研究はオーストラリアでの研究であるようで
2004年に発表されたCondonらの報告
The first-Time Fathers Study : a prospective study of the mental health and wellbeing of men during the transition to parenthood
であるという。
LINK http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14731195 [Aust N Z J Psychiatry. 2004 Jan-Feb] - PubMed result
(この報告については手に入り次第また、書いてみようと思う)

そんななか、このブログを書くきっかけともなったメタアナリシスを紹介しておく。
Prenatal and Postpartum Depression in Fathers and Its Association With Maternal Depression
(JAMA May 19,2010 Vol.303 No.19)
LINK http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/303/19/1961 - JAMA

このメタアナリシスでは、1980年から2009年10月までに公表されている文献などを対象としています。
検索の上で256の研究報告を対象とし、内容を吟味した上で、43の研究報告から、父親のうつの頻度を導いています。

その結果は、
父親のうつの頻度は
10.4% (95%Cl 8.5%-12.7%)
という。
この10.4%というのは、妊娠初期~出産1年後までの期間における頻度になります。

そこで、では、出産前後や出産後ある程度期間が経った場合の父親のうつの頻度は?というのがつぎに示されています。

まず、出産後の父親のうつの頻度から、

出産直後ー3ヶ月   7.7%   (95%Cl 5.3%-11.1%)
出産3ー6ヶ月     25.6%  (95%Cl 17.3%-36.1%)
出産6ー12ヶ月    9%    (95%Cl 5%-15%)

と、出産後3ヶ月における頻度は低いものの3ヶ月ー6ヶ月では高頻度になり、その後、減少しています

いっぽう、出産前についても報告しており
妊娠前期および中期  11% (95%Cl 6%-18%)
妊娠後期         12% (95%Cl 9%-15%)
という。

ではこれらの数字をどう解釈して行くのがいいだろうか

(つづきます)

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