父親の産後うつの話題のつづきです
日本における調査に関する文献の紹介をつづけます。
Risk factors of paternal depression in early postnatal period in Japan
LINK http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2018.2010.00513.x/abstract - 2010 - Nursing & Health Sciences - Wiley Online Library
父親の産後うつの調査に当たって二種類の質問用紙を用いています。
一種類は、うつ病にたいして一般的に用いられている質問用紙CESーD。もう一種類は、女性の産後うつに関する質問用紙EPDS。
というわけで、まず、女性の産後うつに関する質問用紙EPDSにおいて、何点以上(日本の女性の場合には9点以上とされている)の場合に、うつ病と考えてもいいかを決めるところからこの調査は始まっています。
日本版のCESーDにおいては、16点以上とされていることを利用して、EPDSにおいては、Sensitivity Specificityが最大となる点数を計算すると、この研究では父親の産後うつの指標としては、EPDSが8点以上とされました。
以降、父親の産後うつに関しては
EPDSが8点以上 または CESーDが16点以上
として、父親の産後うつの頻度を計算しています。
これからは、
CESーDが16点以上 146人中11人 7.5%
EPDSが8点以上が 146人中17人 11.6%
一方、この調査は産後の一ヶ月健診において母親の分と父親の分の質問用紙を配布しており、母親の産後うつの割合も計算されている
CESーDが16点以上 178人中43人 24.2%
EPDSが9点以上が 178人中50人 28.1%
となっています。
この報告では、父親・母親に対して面接をしたうえで、「産後うつ」の診断をしているのではなくて
上記のように、質問用紙を用いて、カットオフ値を超えているひとを「うつ」と分類している点が特徴であって、通常の母親の産後うつの割合とされている10%を超える頻度となっています。
なので、以降の分析は、質問用紙の回答から、うつ病のスコアがカットオフ値を超えている人を
対象としている、ということを前提に読み進めていく必要があります。
(つづきます)
2010年8月19日木曜日
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