2010年8月12日木曜日

父親の産後うつについて その4

さて、海外の報告についてはみてきたが、日本に目を向けてみる
英文の文献ではあるが、日本における父親の産後うつに関する調査報告を紹介する。
その文献は
Risk factors of paternal depression in early postnatal period in Japan
である。
LINK http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-2018.2010.00513.x/abstract - 2010 - Nursing & Health Sciences - Wiley Online Library

この報告では、お産の1ヶ月健診のときに、質問用紙を配布し、回答のあったものを分析している。
質問用紙は、母親の分と父親の分を渡している。

対象となったのは、510組の夫婦。
この510組に対して質問用紙を渡したところ、181人の母親、156人の父親から回答がえられた。

この156人の父親の回答から、分析に使えると判断した133例について分析している。
なお、質問用紙は、自己回答式の質問用紙であり、
EPDS (Edinburgh Postnatal Depression Scale)
CES-D (Center for Epidemiologic Studies Depression) Scale
の二種類である。

EPDS:たとえば次のリンク先に見本あります(PDFです) www.mie.med.or.jp/hp/doctor/boshi/pdf/boshi09.pdf
CES-D:たとえば次のリンク先に見本あります www.ne.jp/asahi/akira/imakura/CES-D.htm

CESーDは、20項目からなる質問用紙で、それぞれに0点〜3点をつけて、その合計点を計算する。
満点は60点であるが、16点以上の場合に、うつ病の可能性が高くなると言われている。

EPDSは10項目の質問からなり、それぞれの項目に関して0点〜3点の四段階の得点をつけ、その合計点を算出します。
イギリスでは13点以上の場合に産後うつ病のリスクが高いと判断されます。この点数は国ごとに異なると考えられており、スウェーデンやフランスでは12点以上、中国では10点以上、日本では9点以上と言われています。
じつはこのEPDSは、女性を対象に作られているので、男性に対しても用いていいのかどうかを考えなくてはなりませんが、男性に対してEPDSを用いた報告がいくつか存在しています。2001年にはオーストラリアでは男性に対して用いた報告があります。このオーストラリアの報告では、女性では8点以上としているのに対して、男性では6点以上としています。
この研究では、EPDSの点数において、何点以上の場合に産後うつと評価して良いかをまず、検討している。

(つづきます)

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